美魔女のつぶやき

阿蘇で暮らす自称美魔女の随想

高校の日本史の教科書の実態

今日(4月17日)ふらりと立ち寄った本屋で、本郷和人(東大史料編纂所 教授)著『歴史をなぜ学ぶのか』( SB新書 2022年)が目に留まり購入しました。実は、私は歴史関係の本を買うことは殆どないのですが、たまたま、この著者を歴史番組でない番組で見たことがあり、ユニークな方との印象があったことに加えて、タイトルが面白かったので、買ってみることにしました。以下は、この本からの引用です。

 

日本史の教科書と呼ばれるものの多くは、因果関係を無視して、〇〇年に〇〇が起きたとか、〇〇年に〇〇が将軍に即位した、とか、事実だけを羅列する傾向にありました。私はそこで「物語性」というものに注目することにしました。

中略

物語というものは、実証的な科学としての歴史学とは一線を画すものである一方、物事の因果関係や歴史の流れを掴み、歴史のダイナミズムと面白さを体感することができるという「強み」もあります。

中略

教科書の執筆者に選ばれたとき、私は思い切って自分が理想とするような、先に述べた物語的な叙述のスタイルで書いたつもりでした。ところが、高校の先生方は、「これは使えません」と言うのです。

中略

私は因果の関係をきちんと説明して、物語性のある読み物として面白い教科書作りを心がけることで、学生たちに歴史とは何かを考えてもらおうと思ったのです。しかし、「そのような教科書は受験では使えないからダメ」ということになりました。急速に私のなかで教科書を作る情熱が萎んでいくのを感じました。

引用終わり