美魔女のつぶやき

阿蘇で暮らす自称美魔女の随想

改革と犠牲者

梅雨空の今日、外ですることはなく、本棚を眺めて、久しく読んでいなかった本の一つを手に取りました。それは奥津文夫著『日英ことわざの比較文化』(大修館書店 2000年)という本です。この本の「日本には類似のことわざがない」というところで紹介されていたものの中で、私の目に留まったものを2つ挙げておきます。

一つ目は、You cannnot make an omlet without breaking eggs.(目的を達するには犠牲を払わねばならない)です。直訳は「卵を割らずにオムレツは作れない」ですね。

飛躍し過ぎの考えかもしれませんが、英語圏では「改革をやろうとしたら、ある程度の犠牲者が出るのは仕方ない」ということを受け入れる素地になっていることわざかもしれませんね。他方、日本では「なるべくみんな平等に、仲良く、不公平なく」のような考が浸透していますから、多少でも犠牲者が出るのを嫌いますし、そのような政策や方針は反対されやすく、時には「弱者切り捨て」とか「弱いものいじめ」とか言われたりしますね。その結果、必要な改革が進みにくく、手遅れになるのかも。日本人の優しさや平等意識が裏目に出てしまう事例かもですね。

二つ目は, He who hesitates is lost.(ためらう者は失敗する)です。拙速を嫌い、慎重や入念を重んじる傾向が強い日本人にはない発想かもですね。「石橋を叩いて渡る」や「急いては事を仕損じる」という言葉もありますね。ただ、英語にもほぼ同意の、Haste makes waste.(慌てると無駄が生まれる)との諺もあります。