美魔女のつぶやき

阿蘇で暮らす自称美魔女の随想

絵画を素直に鑑賞する目はどこに?

私は絵画には詳しくありませんが、面白い話を二つ紹介しておきます(ご存じの方もおれれるかもしれませんが)。

先ずは、フランスの画家クロード・モネの『睡蓮の池」です。この作品、長年、パリの美術館で上下逆に展示されていました。それにおかしいと気づき指摘したのは、絵画の専門家ではなく、日本人の工学者で、元東北大学総長の西澤潤一氏でした。

 

次は、『成功する人は偶然を味方にする』(ロバート・H・フランク著)からの引用です。長いですが、お許しください。

社会学者のダンカン・ワッツは、滅多にない成功が起こったときは後知恵バイアスが特に強くはたらくと主張した。そこで、問題となるのは、成功が必然であるかのような説明をつけるのは、ほとんどどんなケースでも簡単にできることだという。現実には、すべてのできごとが複雑に絡み合った結果だ。それぞれの出来事がその前のできごとによって変わる。前のできごとが少しでも変われば、すべてがまったく違うものとなる。

ワッツは、世界一有名な絵画「モナ・リザ」の興味深い歴史を例にこれを説明している。ルーブル美術館を訪れた時のこと。近くの展示室にあるレオナルド・ダ・ヴィンチの同時期の他の作品はほとんど無視されているのに、「モナ・リザ」にだけに大勢の人が群がっていた。ワッツの目には、ほかの作品も「モナ・リザ」とたいして変わらないように映った。調べてみると、「モナ・リザ」は、かつてはほとんど世に知られていなかったらしい。一躍有名になったのは、1911年のビンセンツォ・ペルージャによる盗難事件からだ。この盗難事件は広く報道され、2年後、フィレンツェの美術館に絵を売ろうとしたペルージャが逮捕されて解決をみた。

ワッツは次のように書いている。「私たちが『モナ・リザ』が世界一有名なのは、Xとか YとかZとかの特質を備えているからだと説明する。だが、それは、『モナ・リザ』が有名なのはほかよりもモナ・リザ的だから、と言ってるにすぎない」

 

上の例は、本来は「後知恵バイアス」を説明する例として、上記の本に紹介されていたのですが、絵画を見る目にも関係していますので、敢えて取り挙げました。

 

私たちは、絵画を鑑賞する時に、知名度や値段に影響を受け過ぎているのかもしれませんね。