美魔女のつぶやき

阿蘇で暮らす自称美魔女の随想

対照的な親子の人生

海野さん夫婦は共に中卒で漁村で雑貨店を営んでいました。夫婦とも働き者で人柄がよく、休みの日には、地域の奉仕活動などにも積極的に参加し、皆から慕われ、尊敬されていました。夫婦は小学校の同級生で、担任の先生から言われた「世の中の役に立つ人になりましょう」という言葉を忘れすに、生涯の信条にしていたのです。

一方、一人息子は、正に鳶が鷹を生むで、地元では神童と呼ぼれ、日本の最難関大学にまで進みましたが、学問に熱中するほど、両親の教養のなさを恥ずかしく思うようになり、段々と距離ができていきました。日本の大学を卒業すると、アメリカ、イギリス、ドイツの大学院にまで進み、3つの大学から博士号を取得しました。人付き合いが苦手で、山奥の村に住み、翻訳で生計を立てていました。人との付き合いは最低限で、会えば、博士号の自慢をしたリ、教養をひけらかしたり、人や社会の批判ばかりしていました。ある日のこと、郵便物が余りに溜まっているので、近くの人が中に入ってみると、彼は万巻の書籍が山積みになった部屋で、3つの名門大学からもらった博士号の証書の入った額を抱いて死んでいたのです。