美魔女のつぶやき

阿蘇で暮らす自称美魔女の随想

エリートビジネスマンの目指す先

 今日は、ご存じの方も少なくないかもしれない「小話」を以下に紹介させていただきます。私がこの話を知ったのは、今から15年くらい前だったように思います。この話の大元がどこだかは知らないのですが、イタリア人タレント、ジローラモさんの『イタリア人式楽観思考法』の中で「ナポリにこんな小話があるんだ」として同じ趣旨の話が紹介されているので、もしかしたら、ナポリ生まれの話かもですね。

 

 とても魚釣りが好きな漁師がいました。漁師は好きな時間に起きて、釣りをして、子供や友達 と遊んで楽しく過ごしていました。
 ある日、アメリカ人エリートビジネスマンがその漁師のそばにやって来て言いました。 男:「やあ、すばらしい魚だね。どれくらいの時間、漁をしていたの?」 漁師:「そんなに⻑い時間じゃないよ」 男:「へぇ、君は魚釣りが得意なようだね。せっかくならもっと働いてみたらどうだい?」 漁師:「自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だよ」 男:「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの?」

 漁師:「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、 女房とシエスタして。 夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって...あ あ、これでもう一日終わりだね」
 男:「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、きみにアドバイスし よう。いいかい、きみは毎日、もっと⻑い時間、漁をするべきだ。部下を雇ってもっと売り上 げがでたらボートも買おう。そうしたら仲介人に魚を売るのはやめて自前の水産品加工工場を 建てて、ビジネスを大きくする。その頃には村を出てロサンゼルス、ニューヨークへと進出し ていくだろう。きみはマンハッタンのオフィスビルから企業の指揮をとるんだ。そうすれば老 後もお金ができるよ」
 漁師:「なるほど、そうなるまでにどれくらいかかるのかね?」 男:「20年、いやおそらく25年でそこまでいくね」 漁師:「へぇ、それからどうなるの?」
 男:「そしたら引退して、海岸近くの小さな村に住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て、 日中は釣りをしたり、子どもと遊んだり、奥さんとシエスタして過ごして、夜になったら友達 と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって過ごすんだ。 どうだい? すばらしいだろう」
 漁師:「それこそ、今の俺の暮らしじゃないか」