美魔女のつぶやき

阿蘇で暮らす自称美魔女の随想

創作小話

阿蘇の山奥にそれはそれはそれは仲の良い老夫婦が暮らしています。おじいさんは内向的で優しい人柄。家事が好きで、料理と裁縫が得意。趣味は絵を描くことと歌うこと。一方、おばあちゃんは、パワフルで活動的。仕事は猟師。獣は罠ではく、追っかけて捕まえ、喉に空手チョップを加え、その後は、昔テレビで観てたアントニオイノキさんの得意技の四の字固めをかけます。趣味はK-Pop。福岡でコンサートがあれば、宝くじに当たって買った黄色のフェラーリに、おじいさんが作ってくれた衣服に身を纏って乗り込み、高速を飛ばして観に行きます。K- Popファンの間では有名な元気おばあちゃん。実は、韓国の人気グループも、このおばあちゃんが観に来てくれるのを楽しみに福岡でコンサートを毎年開いているとのこと。

さて、この夫婦、結婚当初から、このようであったわけではなかったのです。初めの3年は、普通の夫婦のようだったそうです。しかし、3年経ったある日、おばあちゃんが、お互いに渋々と仕事をしていることに対して、「おじいさん、お互いの仕事を交換してみませんか?」と提案してみたところ、おじいさんが喜んで賛成してくれ、それから今のように段々となっていったそうです。

さて、ある日、おばあさんが猟からいつもより早く戻ると、おじいさんが、習字の練習をしていて「妻は元気で留守がいい」と書いていたそうです。それを見たおばあさんと見られたおじいさんは、二人で大笑いしたそうな。