美魔女のつぶやき

阿蘇で暮らす自称美魔女の随想

『ほんとうのアフガニスタン』より

前の投稿記事で触れていた中村 哲著『ほんとうのアフガニスタン』(光文社 2002年)から以下も引用しておきます。

 

(1)外国特派員たちはカブールとペシャワールしか知らない。アフガン全土と北西辺境州にとっては点にすぎない都市を、それが全アフガニスタンであるかのごとき錯覚を世界にふりまいていたのです。

(2)九一年には湾岸戦争が勃発。するとイスラム教徒に対して偏見を持つ欧米人はあっという間に現地からクモの子を散らすように逃げてしまった。これは本当に見事に引き揚げていきました。平和なときの論客が信じられないとはその通りで、土壇場になると本性が現れる。

(3)私たちが一番困るのは、じつは日本から善意で届けられてくる医薬品です。説明が日本語で書いてあって、現地のお医者さんは読めない。しかも少量であることが多い。年間、おそらく三十万人近くの診療を行なっているから、かなり大量の薬が要るわけです。ペシャワールで同じ薬を買いますと、決して品質の劣らないものが、約十分の一から二十分の一の値段で買えます。だから私たちとしては、露骨ですけれども、薬よりも金を出してくれ、同情もうれしい、だが誠意の金はもっとうれしい。

(4)日本に戻って気になるのは、たらふく食っている日本人のほうが暗い顔をしている。しかも言葉は不平不満の羅列です。これは何なのだ、と思います。どうも人間というのは持てば持つほど不安になって顔が暗くなるらしい。