美魔女のつぶやき

阿蘇で暮らす自称美魔女の随想

エアコンと幼児

3回連続しての西成活裕(東大教授)著『逆説の法則』からの引用です。

 

熱中症にかかりやすい人とは、汗をかきにくい人ということになる。これは何で決まるのかといえば、汗を出す汗腺をいくつ持っているかであり、この数は3歳ぐらいまでの環境で来まることが知られていて、気候と大きな関係がある。

例えば、ロシア人はその数は180万個、日本人で約230万個、フィリピン人で280万個と言われており、寒い国で育つほどに汗腺数が少ないことがわかる。そして日本国内において、この数に個人差が生まれる原因になり得るかもしれないのがエアコンである。3歳以下でいつも涼しい環境で育つと、汗腺が少なくなり汗をかきにくい体質になる恐れがあるそうだ。暑さをしのぐためにはエアコンは必須であるが、それが長期的に見ると熱中症にかかりやすい体にしてしまうというのは、何とも皮肉な話である。

この話は、無菌環境でいると、免疫力が低下して菌に弱くなる、というエピソードと似ている。日本は世界的に見てもトップレベルの清潔な国で、抗菌や除菌グッズなど様々なものが売られている。そうした環境ならではの問題の一つが、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患の増加である。つまり、丁寧に体を洗いすぎると、本来必要なものである常在菌がいなくなり、そのために悪玉菌が繁殖しやすい環境になってしまうのだ。